いつか、主人に言った言葉だ。
「好かれないことも、嫌われることも慣れてるから」
父は、自分がこの世で一番優れていると思っている。
間違うことはないと、思い込んでいる。
自分と違う意見や好みを持つ人間を、親の敵のように嫌う。
非難して、罵詈雑言を並べる。
かなり聞き苦しいし、見苦しい。
これが自分の親かと、自分が恐れて従ってきた人間かと思うと、情けなくて惨めだ。
だが、子供の頃は、自分もこうだったと気が付いた。
何一つ優れたものがないのに、
容姿も頭も、何一つ優れたものがないのに、
自分は特別だと思っていた。
誰にも好かれなくて当たり前だ。
嫌われて、当たり前だ。
あのとき、自然に口から出た。
「好かれないことも、嫌われることも慣れてるから」
慣れてなどいないけど、そういう思いには慣れている。
心の底では自分が悪いのに、そうわかっているのに、見えないフリをしてた。
感じないフリをした。
それでも、少しずつでも、自分には何一つ優れたものなどないと、
特別な存在ではないということに目を向けてきた。
上には上がいて、決して頂点などに立てないのだと。
だから、少しずつ何かをできるように歩いてきた。
そのつもりだった。
だが。
『お前の人生は何の価値もなかった』
と思い知らされた。
あがいてみても、何も進みはしないと、思い知らされた。
ただ
昨日、インスタにあげた私のイラストに、いいねをしてくださった方がいて、嬉しかった。
それだけで、救われた気がした。
いいのかな、と思った。
少しは、前に進めているのかな。